舟を編む

あらすじ

大手総合出版社、玄武書房。
辞書編集部の荒木は新しい辞書「大渡海」の制作のため、
自身の定年後の後継者となる人材を探していた。
求めるのは荒木と同じように、荒木以上に言葉と辞書を愛する人間。

そんな荒木の元に「辞書向きの人材、いるらしいです」との情報が入り、
第一営業部の馬締光也(まじめ みつや)と出会う。
文字通り真面目な馬締は、軽い冗談も真に受けて「それはどういう意味ですか」と
答えてしまうようなコミュニケーション能力の低さで、変わり者扱いされていた。
しかし言語学を先行していたという馬締の探求心や言語に対する感覚は鋭く、
その場で即、編集部への引き抜きが決まる。

コミュ障の馬締が加わったことにより、
国語学者で辞書作成に一生を捧げる松本先生、
言語に魅せられ松本先生と共に長年辞書作成に携わってきたベテラン 荒木、
チャラい正社員 西岡、
感情を出さず淡々と仕事をこなす中年契約社員 佐々木、
が揃い、「大渡海」刊行計画がスタートする。

辞書作成という壮大な目標に夢中になっていく馬締達の苦悩や喜びに
胸が熱くなること間違いなし。ほろりと温かい涙を流したい方におすすめです!

ネタバレなし感想

「大渡海」の製作にかけた辞書編集部とそれに関わる人たちの話。
学生時代に一瞬触れたことのあるような”辞書”。
完成するまでにどれだけの年月とこだわり、苦労があるか全然知らなかった。
辞書が完成しても、言葉は日々進化・変化するため休むことなく改訂版の制作作業に取り掛かる、
なんてことすら知らずに私は約30年も生きていたのか…

馬締達のような編集部をはじめ
各専門家、教授、印刷会社、広告、デザイン、彼らを支える家族の存在があって
一冊の辞書が完成する。
今後辞書見たら泣いてしまいそう。
書店の辞書コーナーで静かに涙を流す女がいたら私です。

一冊の辞書に込められた想い、、、暖かいお話でした😭

真締さんと西岡さんのコンビがナイスだった笑
ちょっと(というかだいぶ)抜けた馬締さん、不器用すぎて可愛かったなあ
西岡さんはキャラが星間商事株式会社社史編纂室(同じく三浦しをん著)のヤリチン先輩とかぶる笑

実写化では松田龍平さん出てましたよね、予告しか見たことないんだけど。
まほろ駅前の実写化でも松田龍平さんだったから
馬締と行天の正反対のキャラクターをどう演じてたのか気になる!

知ってた?~辞書ができるまで~

一冊の辞書が完成するのに10年以上かかるって知ってました?
この小説を読んで初めて知った辞書作りの裏側。
無知のアラサーが小説だけで得た 1/100にも満たない知識を紹介します。

①単語をひたすら集める
初期の初期の初期段階だけどこれがなきゃ進まない。
物語では松本先生が常に“用例採集カード”を持ち歩き、
テレビや人の会話から気になった言葉を片っ端からメモしてました。

②原稿作成、言葉の取捨選択、例文作成、話し合い。
編集部員だけで全ての言葉を網羅するのは不可能です。
物語では西岡が大学教授に専門分野の言葉の原稿を依頼したり
期限内に原稿を回収できるよう様子を見に行ったりしてましたね。
辞書に入れるにはもちろん文字制限等の決まりがあるので回収後も添削作業が必要です。
どの単語を入れてどの単語を削るか。
ページ内の文字数制限のため泣く泣く例文を削る。
“正しさ”にこだわった例文作り。
(例えば、一昔前の「恋愛」は”特定の異性を慕う気持ち”だったのが
現代は”特定の他者を慕う気持ち”とかになってますよね)
疑問に思ったことは話し合い誰もが納得する結論を出す。

③入稿→チェック→修正→入稿→チェック の繰り返し
ミスが許されない辞書。
最低でも5回以上、何回も何回も刷りなおして修正してを繰り返すそうです。
物語ではこの段階で学生アルバイトも雇って総動員でチェックしてましたね。
紙、紙、紙。紙に埋もれながらひたすらに赤ペンを走らせる作業。
書体や文字の大きさ、間隔もチェックします。

④印刷会社、広報との打ち合わせ
辞書の紙、想像してみてください。
薄いよね、でも後ろが透けて文字が読みにくいなんてことないよね、
そして結構さらさら(?)してるよね。印刷会社の腕の見せ所らしいです。
この本の後半で印刷会社が出てくるんですけど、
辞書って本当にたくさんの人が関わっているんだなと。。。( ;∀;)
辞書出版の最終段階、広報は走り回り編集部は辞書編集の合間を縫って打ち合わせをしたり
忙しさのピークって感じでした(読んだだけの知識ですが)。

⑤出版
泣いちゃう。
10年以上の月日をかけて、ようやく完成した一冊の辞書は
たくさんの人の思いと共に大海原を力強く走り進める舟のように進みだします。
出版したら終わりではなく、この後も変化する言葉と共に改訂版作成が待っています。
それでも感動せずにはいられないです。

「言葉は生き物」ネタバレあり感想

日々誕生し、変化し、死んでいく言葉。
「言葉は生き物」っていう表現、大好きだ。
ちなみに「つうと言えばかあ」ってのが文中に出てきましたが初めて聞きました。
この言葉、私がこの本を読んだから死なずに済んだ。笑

燃え上がるような展開があったわけじゃないのに読み終わった後に大きな達成感がありました。
まさに大きな舟にのってゆっくりでも着実に進んでいくような。

松本先生が大渡海に間に合わなかったのが残念でならない…
一番最初に完成した辞書に触れてほしかった。
馬締ですらあんなにつらかったのに、荒木は大丈夫だったんだろうか。

しかし15年て。そんなにかかるのか。
15年も同じものを作成するとなると、辞書はもうその人の一部だな…

壮大なお話でした。

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