
ジャンル :お仕事、ヒューマン、BL(?)
尊い二人度:★★★★★
一言感想 :う、美しかった…
私の大好きな作家 三浦しをん先生の月魚を読みました。
こんな人におすすめ
・BL愛好家 三浦しをん先生のほんのりBL小説を読んでみたい。
・人間関係の複雑さや心情を描いた作品が好き。
・自分の仕事に誇りを持つ主人公を応援したい。
月魚 未読の方はこちらへ
あらすじ
古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた―。瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い二人は兄弟のように育ったのだ。しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変っていき…。透明な硝子の文体に包まれた濃密な感情。月光の中で一瞬魅せる、魚の跳躍のようなきらめきを映し出した物語。
(「BOOK」データベースより)
平成16年5月25日
角川文庫
「月魚」は「げつぎょ」って読むよ。私はつきざかなって読んでたよ。
感想(ネタバレなし)
常に貸出中で図書館2つ張り込んでやっっっっっと手に入ったKOCHIRAの一冊。
う、美しかった…本当に美しい物語だった…三浦しをんさんの書く男性キャラクターが本当に好きなんだけど、みんなもそうだろ?
ただ、、、短かった…そして(物理的に)薄かった…。
もっと2人のやりとり見たかったのでいつか続編が出ると信じて待ってます。
その時はもう、あれですよ、もっと全然こう、官能的にやってもらって構わんです。こちとら見てるだけなんで。へへっ。
内容的にはしっとり静かに進んでいくこのお話。
古書店がテーマだからそんなに大事件でドタバタ!的な展開はありません。
三浦しをんさんの透き通るような文章に魅せられました。
二人の青年の微妙な心情と、過去の出来事がどうリンクしているのか是非読んでいただきたい。
古書店という業界についても色々知れるので面白いです。
それにしても色素薄い着流し姿の一人称「私」の青年って、、、
シキソウスイキナガシスガタノイチニンショウワタシノセイネンッテ、、、タベチャイタイ、、、
『月魚』を深く掘り下げる!見どころと考察
相関図

古書店とせどり屋の関係
古書店というのは普通の本屋さんではなく、文字通り「古書」を扱うお店。
歴史、演芸など当時の文化の影響を受けている非常に価値が高い本が並んでいるのだそう。
もちろん国宝や文化財に指定されているものもあり、希少価値の低いものから高いものまで様々。
絶版になっているものや、市では出回っていないものなど、業界をはじめとした愛好家やマニアの間では多くの額が動くことも。
そしてそこに関わってくるのが「せどり屋」。悪い言い方をすれば転売屋です。安く買い取り、別の店に高く売るというあれです。
せどり屋はちょっとマイナスなイメージが付きがちですが、流通の助けになっていたり、消費者が入手困難な品を扱っていたりすることで社会に役立っているれっきとした職業です。
瀬名垣の父はちょうどこのせどり屋として生計を立てていました。
そして、点々と渡り歩き無窮堂にたどり着いた時、古書店業界の大御所 本田翁(真志喜の祖父)に出会います。
本田は瀬名垣の父がどれだけ本を愛しているかを見抜き、周囲に噂されようとも構わず瀬名垣の父を受け入れるのでした。
瀬名垣の過去
老舗無窮堂の三代目ジェイソールブラザーズとして産まれた真志喜と、
業界のはみ出し者として見られるせどりやの息子、瀬名垣。
瀬名垣の父が無窮堂を訪れるようになってから、二人はよく顔を合わせるようになり一緒に育ちました。
ある日、瀬名垣は真志喜の父が捨てようとしていた本の山の中から一冊の書物を発見します。
瀬名垣は幼いながらもその書物の価値を見ぬき、選んだのです。
それは業界では幻のように扱われている一冊でした。
この書物があれば、父はもっと楽な生活ができるかもしれない、そう思った瀬名垣でしたが…。
無窮堂二代目の本田が捨てようとしていた書物の中に「幻の古書」があった。
見つけ出したのは「せどり屋の息子」
これは、真志喜の父の名とプライドを傷つけ、どん底に突き落とすのには十分でした。
実は真志喜の父は、父である本田翁と息子である真志喜の才能に追いつけないことに苦しんでいたのです
追い打ちをかけるように、自分では見抜けなかった本の価値を、見下していたせどり屋の息子に見ぬかれる―――。
真志喜の父はふらりと家を出て、帰ってくることはありませんでした。
真志喜と瀬名垣の間にある壁
瀬名垣の父は、自分を認めてくれた無窮堂にとんでもないことをしてしまったと驚き嘆き謝罪します。
そして二代目(真志喜の父)のプライド・立場を傷つけ、更に追い出してしまったことへの負い目を「もう二度と無窮堂に近づかない」という自らへの罰とし、瀬名垣にも無窮堂に行くこと、真志喜に会うことを禁じました。
瀬名垣は無知な自分が犯したことの重大性と真志喜から父親を奪ってしまったことに傷つきます。
しかし、どうしても真志喜に会いたくなった瀬名垣は禁じられていた無窮堂に入り、真志喜と再会します。
真志喜は「もう来てくれないのかと思った」と瀬名垣に抱き着き、瀬名垣は「おまえが望むかぎり会いにくる」と返します。
……。
真志喜は「もう来てくれないのかと思った」と瀬名垣に抱き着き、瀬名垣は「おまえが望むかぎり会いにくる」と返します(強調)
一方で真志喜は、自分の父のプライドが、瀬名垣を苦しめていること、瀬名垣は罪の意識で自分に会いに来ていることに苦しみます。

まあ、瀬名垣は普通に真志喜に会いたいから無窮堂に出入りしてるんだけどね
過去との対決
そんな背景がありながらも、二人は古書の買い取りの為、とあるお宅に向かうことになります。
早速、買取金額の査定を開始しようとするも、二人の若さを見た依頼主側は不満を漏らします。
「こんな若い男たちに、正しい査定ができるのか」と。
そしてこともあろうか、二人の査定とその町の古書店「黄塵庵」の査定どちらが正しいか対決させるというのです。
業界のご法度ともいえる同業者同士の対決に怒る真志喜。
その挑戦受けてやる、と話を飲む瀬名垣。そんなワイルドな瀬名垣が好き。
なんだかんだでその勝負をうけることになった彼らの前に現れた黄塵庵。
なんとその正体は家を出たっきり行方をくらましていた真志喜の父でした。
真志喜・瀬名垣VS今は黄塵庵と名乗る真志喜の父。
勝敗の行方は…!?
二人の関係、腐女子歓喜の確たる証拠
ほんのりBLな香りが漂う本書ですが、二人の関係は明言されていません。
しかし、二人がただの幼馴染ではないということは明らか。
そこで、いくつもある「これはもうそういうことですやんでゅふふ」という描写の中から、さらに二人の関係の証拠となりそうな描写を3つ選びました。
題して
瀬名垣と真志喜は心も体も愛し合っていることが分かる証拠文ベスト3
では早速。
【第3位】
真志喜は着物の袖からのぞく、肉付きの薄い自分の腕を見る。その腕をつかみ、低い声で「ましき」と呼ぶ瀬名垣の声が耳によみがえった。
引用:月魚p34
幼い頃と比べてぐっと男性らしい体つきになった瀬名垣のことを考える真志喜。この後彼は一人で顔を赤らめます。
【第2位】
「いえ、熱いくらいでしたよ」
引用:月魚p88
出先で一夜を共にした二人。家主の「昨晩は冷えたでしょう、よく眠れましたか」という問いに対する瀬名垣の返答。これは全国の腐女子を沸き立たせる発言でもある。「いえ、熱いくらいでしたよ」
【第1位】
それは、闇の中に瀬名垣が見るだろう白い裸身だろうか
引用:月魚p232(あさのあつこ氏による解説)
作品終了後の、あさのあつこさんによる解説。今まで直接的な描写はなかったけど、この一文で私は確信を持った。ありがとう。
取り上げたのは3つですが本編の中にはもっと素敵な描写があるので是非読んでみて下さい!!!!
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まとめ
葛藤を抱えながらも、お互いを必要とする二人の関係
物語に登場する 無窮堂の庭の、姿を現さない池の主。
この魚について詳しく描かれている場面はありませんが、時にどす黒く、時に美しく輝き、二人の心情を現しています。
本を愛し本に愛された二人と、月に照らされる魚が連想させる静寂と美しさ。
様々な葛藤を抱えながらも、お互いを必要とする二人の関係が素敵でした!
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