ラットマン

あらすじ

結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とは―。

(「BOOK」データベースより)


初版発行 2010年7月20日
光文社

ネタバレなし感想

★★★☆☆

後半の怒涛の展開に読む手が止まらず、気づけば深夜1時。「…?!シュパパパ(ページ読み返しの音)」っていうのを5回ほど繰り返すくらいには作者の思う壺だった。

行動の直前までの描写はあるのに核心部分で場面が切り替わる、という書き方がまた想像力を掻き立たせます…主人公の姫川が抱える闇がどの方向に進むのか、最後まで見届けたくなる。。。

後半はどんでん返しの嵐。まるで往復ビンタされているかのごとくあっちにこっちに飛びまわされる展開。これはもう読んだ人にしか分からないけど本当にひっくり返され続けるラストでした。笑

姫川属するアマチュアロックバンドのスタジオ練習風景が多かったので、バンドを組んでいた時を思い出して懐かしかったです。アンプとかね、でかいよね。待合スペースね、タバコ吸って座ってるよね。スタジオの扉、そうそう二重になってるよね、扉重いよね。

全然関係ないけど私が社会人になって組んでたバンドがよく使ってたスタジオ、ものすごく田舎にあって雑巾みたいな犬(本当に申し訳ないんだけどこの表現が一番的確。と誰もが言う。)がいたんだけど、最近その犬がいなくなって代わりに羊がいるらしい。(謎)

作者のあとがき楽しみにしてたのに別の作家さんの解説しかなかったのがちょっぴり残念…

ネタバレ解説

姫川の過去と事件

姫川には母親と、病気で衰弱していく一方の父親と、2つ上の姉・塔子がいました。

姫川が小学1年生の時、塔子は小学3年生。父親の在宅治療の為、定期的に家に訪れる看護師の卑沢に懐いていた塔子は、二階の子供部屋を飾りつけ彼に見せようとサプライズの準備をします。

卑沢の誘導係を頼まれていた姫川は、バス停まで卑沢を迎えに行き、彼と一緒に帰宅しました。

家に着くと、寝たきりだったはずの父が庭の奥から歩いてきました。同じタイミングで買い物から帰ってきた母親も合流。一同は久しぶりに自分の脚で立っている父の姿に驚きの声をあげるも、彼の様子がおかしいことに気付きます。

庭の奥になにがあるの?

そこには帰らぬ人となった塔子が静かに横たわっていました。

「何かが落ちる音がして外に出たら娘が死んでいるのを見つけた」という父の証言と子供部屋の窓が開いているという状況から不慮の事故と結論付けられ、その後父もすぐに亡くなってしまいます。

スタジオで起きた事件

30歳になった姫川は同級生の谷尾竹内とバンドを組んでおり、練習に使うスタジオのスタッフで桂の姉でもあるひかりと付き合っていました。

スタジオオーナーの野際に「ひかるとはいつ結婚するんだ」と聞かれても曖昧に答える姫川。

ひかりは妊娠していました。しかし、姫川はひかりが堕ろしたいというその子供が自分の子供ではないことを知っていました。

そしてあの日。スタジオ練習を終えた姫川たちは、スタジオ倉庫でアンプの下敷きになり冷たくなったひかりを発見したのです。

倉庫内でブレーカーが落ち、暗闇でアンプが倒れてきたという事故でした。

二転三転する犯人像

ここがこの小説の一番の見せ所なのではないでしょうか。

読者は、事件当時に不可解な行動をとっていた姫川が犯人だと思い込んでいます。

しかし、彼は犯人ではありませんでした。彼は、桂の服に血がついていることに気付き、真の犯人である桂をかばう為に現場を事故のように見せかける細工をしただけだったのです。

ここで読者は「犯人は桂だったのか!」と思うわけです。

しかし、彼女もまた犯人ではありませんでした。姫川を勘違いさせた服の血は、桂が怪我をした時にたまたまついた桂自身の血だったのです。(しかも彼女は姫川が犯人だと思っています。もうカオスです。)

結局犯人って誰?

(↑フォロワーのブッキーともぴゆうきゃんみぽり歓喜の魔法の言葉)

登場人物が勘違いに勘違いを重ねて最後の最後に分かった事実。ひかりを殺したのは…

スタジオオーナーの野際さんでした。

スタジオ経営が危うくなり精神的に弱っていた時、同じく自分を捨てた父親のことで弱っていたひかりとワンナイトしてしまった野際氏。その後、体を重ねたことでひかりの心も手に入れたと思った彼は、「自分と一緒に死んでほしい」とひかるに言います。ひかる、笑いながら断ります。

>>笑いながら断る<<

そして、その答えに逆上した野際氏はひかりを殺したと。

相関図

竹内のアウェイ感wwwww

読んでるときは感じなかったけど相関図にすると…こんなにドロドロだったのか…

姫川の過去と今回の事件の繋がり

不慮の事故で姉を亡くした姫川。

姫川は、姉 塔子を殺したのは母親で、父親が母親をかばい事故死に見せかけたと思っていました。

(母親は、塔子は自分の虐待が原因で自殺したと思っていました)

真実は本当に不慮の転落事故でした。守りたい人をかばう為に事故死に見せかけたという点が同じですね。そして最後はどうして姫川の母親が姉だけを虐待していたか、という理由についても明かされます。父と母はお互い子連れで再婚し、塔子は母親の本当の娘ではないからでした。

おわりに~ラットマンとは~

タイトルにもなっている「ラットマン」。これは心理学で使われる有名な絵だそう。同じ絵でも人間の列にあれば人の顔に見えるけど、動物の列にあればネズミに見えるっていう騙し絵みたいなもの。ググれば出てきます。

先入観や偏った目線は、時として架空の事実を作り上げてしまうという恐ろしさを感じました。主人公の姫川を苦しめていた架空の事実、最後に回収されてよかったです。

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